情報処理推進機構(IPA)は2021年の10月8日、国家資格「ITパスポート」について、2022年度から高等学校の新必修科目となる「情報I」に対応するよう出題範囲の拡大とシラバスの改訂を発表しました。詳しくはこちらのIPA公式HPにて公開されています。
ITパスポートの出題範囲が拡大するのはいつから?
ITパスポートの出題範囲拡大適用時期は2022年4月からとなっており、それまでは今までと同様の出題範囲にて出題されます。
ITパスポートの概要についてはこちらの記事にて詳しく解説しています。
ITパスポート、どういう部分が出題範囲拡大されるの?
プログラミング的思考力、情報デザイン、データ利活用などに関する項目がシラバスにて追記されています。特に大きな変更点としては、プログラミング的思考力を確認するために、擬似言語を用いたプログラミング問題がが追加されます。そのため、ある程度プログラミングに対するアレルギーを取り除く必要がありそうです。
試験時間、出題数、採点方式及び合格基準に変更はありません。以下、プレスリリースにて記載されていた文章となります。
AI、ビッグデータ、IoTをはじめとする新技術が企業活動や国民生活に浸透するなか、学校教育においても、小・中・高等学校を通じてプログラミング教育が段階的に実施されています。高等学校においては令和4年度から、全ての生徒が必ず履修する科目(共通必履修科目)として「情報Ⅰ」が新設されます。政府の「AI戦略2021」(令和3年6月11日統合イノベーション戦略推進会議決定)(*1)においても、「情報Ⅰ」の新設を踏まえ、ITパスポート試験の出題の見直しを実施し、高等学校等における活用を促すことが示されています。
このような状況を踏まえIPAでは、高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」に基づきiパスの出題範囲、シラバス等の見直しを実施し、プログラミング的思考力等の出題を追加することとしました
「プレス発表 ITパスポート試験にプログラミング的思考力等の出題を追加」より引用
期待される技術知識水準
IPAの試験要項(Ver.4.7)によると、
- 利用する情報機器及びシステムを把握するために、コンピュータシステム、データベース、ネットワーク、情報セキュリティ、情報デザイン、情報メディアに関する知識を持ち、オフィスツールを活用できる
- 担当業務を理解するために、企業活動や関連業務の知識を持つ。また、担当業務の問題把握及び必要な解決を図るためにデータを利活用し、システム的な考え方や論理的な思考力(プログラミング的思考力など)を持ち、かつ、問題分析及び問題解決手法に関する知識を持つ
- 安全に情報を収集し、効果的に活用するために、関連法規、情報セキュリティに関する各種規程、情報倫理に従って活動できる。
- 業務の分析やシステム化の支援を行うために、情報システムの開発及び運用に関する知識を持つ
- 新しい技術(AI・ビッグデータ・IoT 等)や新しい開発手法(アジャイルなど)の概要に関する知識を持つ
などの技術水準が期待されているようです。赤字の部分が今回の変更で追加された部分であり、これに対応して試験範囲も拡大しています。
拡大範囲に向けて学習するには
今回の改訂はITパスポートにおいて割と大きめの変更であると言えます。そのため、学習量も以前より必然的に増えることになります。新しい範囲をしっかり押さえて、対応年度の合格を目指しましょう。
試験拡大範囲においては従来のテキストには掲載されていない内容になるので、今後ITパスポートの受験を考えている人は最新のテキスト・教材を選ぶように注意しましょう。
IPAの公式HPにて詳しい試験拡大範囲の説明と、プログラミング擬似言語のサンプル問題が掲載されています。
今後受験する予定の方は、早めに確認しておいて受験対策をしておくと良いかもしれませんね。