応用情報技術者試験の午後試験の選択問題について解説しています。初学者や文系の方が応用情報技術者試験を受ける際に合格しやすくなる選択問題とその理由について詳しく説明します。
応用情報技術者試験に合格することは、IT系企業で活躍していくには必須と言えるでしょう。基本情報技術者試験に合格したことのある人でも、応用情報技術者試験で不合格になってしまうことは珍しくありません。特に応用情報技術者試験の午後試験は、選択式の解答ではなく記述式の解答になるため、初学者や文系の方が勉強する際の壁となるのではないでしょうか。
選ぶ問題によって合格率が変わるものなんですか!?
選ぶ分野によって学習のしやすさや解きやすさが全く変わるのじゃ!
応用情報技術者試験について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
応用情報技術者試験の午前試験の勉強方法については下記の記事で紹介しています。
応用情報技術者試験の内容と合格基準
応用技術者試験の試験内容と合格基準については以下になります。
応用情報技術者試験の午後試験の内容
まずは応用情報技術者試験の概要について解説していきます。
開催時期
応用情報技術者試験は毎年4月(春)と10月(秋)の2回行われ、申し込み受付はそれぞれ1月上旬〜2月上旬、7月上旬〜8月上旬になります。申し込みにはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)ホームページから行うことができます。
受験料
受験料は2022年4月より7,500円(税込)になっています。以前よりも受験料が上がっているため、一回の試験の重要性が高くなっています。
試験会場
試験会場は全国主要62都市で開催されます。基本情報技術者試験やITパスポート試験がCBT方式で行われるのに対し、応用情報技術者試験は筆記で行われます。
試験内容
試験は午前試験と午後試験に分かれていて、午前試験は4択問題が80問、午後試験は長文問題を11問出題の中から5問選択で全ての問題が記述式の問題になります。
午後試験 | |
試験時間 | 150分(13:00〜15:30) |
問題形式 | 記述式 |
問題数 | 11問(長文問題) |
回答数 | 5問 |
午後試験の出題範囲は以下のようになります。
特に重要な午後試験の選択問題は、問1が必須解答、 問2〜11の中から4問選択して解答する必要があります。
分野 | 問1 | 問2〜11(4問解答) |
経営戦略・戦略立案・コンサルティング | ○ | |
システムアーキテクチャ | ○ | |
ネットワーク | ○ | |
データベース | ○ | |
組み込みシステム開発 | ○ | |
情報システム開発 | ○ | |
プログラミング(アルゴリズム) | ○ | |
情報セキュリティ | ◎ | |
プロジェクトマネジメント | ○ | |
サービスマネジメント | ○ | |
システム監査 | ○ |
どの選択問題を選ぶかが合格の鍵を握るぞ!
応用情報技術者試験の合格基準と合格率
次に、応用情報技術者試験の合格基準と合格率について解説します。
応用情報技術者試験の合格基準
応用情報技術者試験の合格基準は午前試験、午後試験ともに100点満点中60点を取ることです。
午後試験では問題1つに対し20点分の配点がされます。5問の問題中、3問完答することができれば合格になります。
応用情報技術者試験の合格率
応用情報技術者試験の合格率は20%前後で推移しています。
下記には近年の応用情報技術者試験の合格率を記載しています。応募者数と受験者数の乖離から、受験前に挫折する受験者が毎年1万人以上いることがわかります。さらに受験者のほとんどがIT系関連の企業に従事している人であると考えると合格するのはかなり難しい試験であるといえます。
2020年秋 | 2021年春 | 2021年秋 | |
応募者数(人) | 42,393 | 41,415 | 48,270 |
受験者数(人) | 29,024 | 26,185 | 33,513 |
合格者数(人) | 6,807 | 6,287 | 7,719 |
合格率 | 23.5% | 24.0% | 23.0% |
文系でも応用情報技術者試験に合格できるのか
応用情報技術者試験を受ける文系の方や初学者の方は、まず基本情報技術者試験から受けましょう。基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の出題範囲はほとんど変わりません。一方で応用情報技術者試験は応用と名前につく通り、応用力や深い理解が求められます。
応用情報技術者試験の合格を狙うなら、まずは基本情報技術者試験を受験し、その半年後に応用情報技術者試験を受けてください。午前試験に関しては、基本情報技術者試験も応用情報技術者試験もほとんど同じ内容が出題されるため、効率よく勉強ができると思います。
午後試験はこれから紹介する3つのコツを使って勉強してみてください!
午後試験の選択問題を選ぶ3つのコツ
それでは応用情報技術者試験の午後試験に合格するための3つのコツを紹介します。
前提として、応用情報技術者試験の午後試験では問1のセキュリティ分野は必須で出題されるため、得意不得意に関わらず必ず対策するようにしてください。セキュリティ分野で点数を稼ぐ効率的な方法として、過去問を対策するのはもちろんのこと、セキュリティ関連の単語を覚えるようにしましょう。セキュリティ分野の出題では例年セキュリティ分野の単語を記述する問題が出題されるため、注意が必要です。
ここからは文系の方やこれから勉強を始める方が選択問題を選ぶときのコツについて解説します。
「システム監査」が文系と初学者には有利!
選択問題で悩んでいる方には、まずは「システム監査」を選択問題で選ぶことをオススメします。システム監査の分野は計算問題や知識に関して問われることがあまりないため、勉強時間があまりなくても対策することができます。一方で文章を読み解くスキルは求められるために注意が必要です。
システム監査を解くコツとして、下記の2点を注意してみてください。
「できない」「していない」「手動で」には線を引く
システム監査の問題の出題パターンとして、現状のシステムに関する問題点を解答することが求められます。そのため文章を読んでいる際に「ーーができない」「ーーをしていない」「手動でーーしている」といった言葉が出てきた際には線を引くようにしましょう。後々にその部分の解答を求めれるケースが多く見受けられます。
権限が誰に付与されているか線を引く
システム監査の問題のもう1つのパターンに、権限を付与してはいけない人に付与してしまっているケースの問題が多くあります。特に「管理者権限」「編集権限」などといったワードが出てきた際には、その権限を誰が持っているかに注意しながら読み解くようにしてください。
出題されるパターンが似てることが多いのはありがたいですね!
システム監査の問題は一般的な常識や意識があれば得点できる問題です。過去問を数年分とけば必ず対策できるので是非選択問題で選んでみてください。
「プログラミング」は勉強する価値がある!
次に選択問題でオススメしたいのが、「プログラミング」の分野です。文系や初学者の方にとってはアルゴリズムが苦手という方は多いかもしれません。一方で応用情報技術者試験の選択問題では数学的バックグラウンドがなければ解けない問題が出題されるケースも多数あります。そうした計算問題が出題された時、文系の方や初学者の方が解くのは難しいと思われます。
アルゴリズムに関する概念はIT系の企業や業界で働く人にとっては必須の概念だと言えます。日常的に業務などでプログラミングをしている方にとっては有利な選択問題であり、そうでない人にとっても時間をかければ必ず解ける分野です。
「プログラミング」の分野の出題では特定のプログラミング言語を解く必要はありません。疑似言語と呼ばれるものを使って出題されます。そのためアルゴリズムという概念を理解しているかが問われます。
基本情報技術者試験を受けたことのある人なら馴染みのある形式の問題じゃぞ!
まずは解答や解説を見ながら過去の問題を解いてみてください。最初は0点であることも珍しくありません。問題に慣れてくれば「プログラミング」は必ず得点源となる選択問題になるはずです。
アルゴリズムに慣れている、慣れてきた方であれば、「組み込みシステム開発」もオススメです!フローチャートの問題はアルゴリズムに慣れている方であれば得点源になるでしょう。
「組み込みシステム開発」では計算問題が出題されることが多くありますね。
計算問題と言っても単位を間違えなければ誰でも解ける問題が出題されるぞ!
文章問題の分野を安易に選択しない!
文系の方や初学者の方に参考としていただきたいコツとして、文章問題の分野を安易に選択しないことが挙げられます。具体的には「経営戦略・戦略立案・コンサルティング」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」の選択問題が該当します。
「経営戦略・戦略立案・コンサルティング」の分野は年によって難易度が大きく異なります。比較的簡単に解ける年もあれば、業務的な知識が求められ、その分野に携わっている人しか解けないような問題が出題される年もあります。他の分野の出題とは違い、技術的な知識は問われません。一方で出題される問題の特徴は年によって大きく異なります。過去問を数年分解いただけでは試験本番で全く想定していない形の問題が出題されることも多くあります。仕事をしている方や毎日が忙しい方には特にオススメはできません。合格するために効率が良いとは言えないでしょう。
「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」の問題も文章を時間をかけて読めば解ける問題もありますが、業務上の知識が求められる問題も多くあり、これらの分野に携わっている人が有利になること問題が多々あります。さらに文章量もかなり多いため、文章から解答を探すのに時間がかかってしまい、他の問題に手が回らなくなってしまうことも想定されます。
2021年の秋試験の「プロジェクトマネジメント」では「アジャイル」に関する問題が出題されたぞ。業務で携わったことがあるかないかで難易度が変わるのじゃ。
専門用語や業務知識が求められることもあるので毎年得点率は低いですね…
「経営戦略・戦略立案・コンサルティング」が年によって大きく難易度が変わるのは事実です。試験本番では一度流し読みしてみて、解けそうなら解くようにすると良いでしょう。「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」の問題も、将来自分が携わりたい分野であるならば勉強してもタメになるはずです。
高度情報処理技術者試験を将来取る予定がある方は、そこから逆算して分野を選ぶのも良いぞ!
他に選ぶべきオススメの選択問題は?
他の選択問題の候補として、「システムアーキテクチャ」「ネットワーク」「データベース」「情報システム開発」が挙げられます。これらの選択問題は受験する人の性質によって難易度が大きく分かれます。
「ネットワーク」「データベース」に関する知識がある程度ある、もしくはその分野に業務で携わるといった方には「ネットワーク」「データベース」の2つはオススメできます。これらの2つの選択問題の知識はそのまま高度情報処理技術者試験で活かすことができるので、将来を見据えて選択するのも良いと思います。
そうでない方は「システムアーキテクチャ」「情報システム開発」を選択することになりますが、「システムアーキテクチャ」の方が難易度が高くないと言われています。「システムアーキテクチャ」では毎年計算問題が出題されますが、そこまで高度な計算を有することはなく、比較的単位ミスをしなければ解ける問題が出題されます。一方で「情報システム開発」はアプリケーションやシステムを開発したことのある方には有利になりますが、そうでない場合は特別な考え方や概念を理解する必要があるため、対策に時間がかかると言えるでしょう。
文系の方や初学者は「システムアーキテクチャ」がオススメですか?
これらの4つの選択問題は人によって得意不得意が大きく分かれると思うぞ。
まずは1度それぞれの分野を解いてみて、自分に合ってそうな選択問題を選ぶのじゃ!
まとめ
いかがだったでしょうか。解説したことをおさらいしましょう!
- 応用情報技術者試験の午後試験は選択問題を4つ選ぶ必要がある
- 「システム監査」は比較的解きやすく、多くの方にオススメできる
- 「プログラミング」は将来の役に立つため勉強して損はない
- 文章題の選択問題だからといって簡単だとは限らない
今回紹介した選択問題を選ぶコツはあくまで効率の良い勉強をしたい方にオススメなコツです。将来的に応用情報技術者試験よりも難易度の高い、高度情報処理技術者試験を受けるという方には、受けたい高度情報処理技術者試験の分野に近い選択問題を受けることをオススメします。
資格を取得することだけをゴールにせず、その先の将来を見据えて勉強するのが良いのじゃ!
難しい選択問題もその分挑戦しがいがあると思えば良いですね!
本記事、が応用情報技術者試験合格への助けになれば幸いです!